空間・施設別照明

オフィス照明完全ガイド!JIS基準からコンセプト演出まで

「ビューティーバレー」と命名された新オフィスでは、照明計画も「縁-EN-」というコンセプトを体現する大きな要素になっている―日本ロレアル本社オフィス(YAMAGIWA)

オフィス環境を構築する上で、内装や家具選びと同様に極めて重要な役割を担うのがオフィス照明です。オフィス照明は、従業員の生産性や心身の健康から企業のブランドイメージまで影響を及ぼします。適切な照明計画が施されたオフィスは、場面場面の心理状態によりそって働く人の集中や対話を支え、企業の成長を後押しする基盤となります。

本記事では、オフィス照明選びの基礎となるJIS規格の基準や専門的な指標から、最新のレイアウト手法、エリア別の最適な選び方まで、理想のオフィス空間を実現するためのノウハウを網羅的に解説します。

オフィス照明が従業員と企業にもたらす効果

生産性と集中力の向上

オフィスにおける照明環境は、そこで働く従業員の業務効率や集中力に極めて大きな影響を与えます。人間の脳は目から入る光の情報によって覚醒状態を調整しています。適切な明るさが確保された空間では自然と意識がはっきりし、作業に対する集中力が高まります。逆に、薄暗い環境ではリラックス効果が勝ってしまい、緊張感が必要な業務においてはパフォーマンスの低下を招く恐れがあります。

特に、現代のオフィスワークにおいては、パソコン画面の明るさと周囲の明るさのバランスが非常に重要です。周囲が暗すぎると画面との輝度差によって目に負担がかかり、集中力が途切れる原因となります。適切な照明計画によって空間全体の明るさを最適化することは、従業員が持てる能力を最大限に発揮するための基本的な土台作りと言えます。

また、集中力を必要とする個人作業と、活発な意見交換を目的とするグループワークでは、求められる光の性質が異なります。業務内容に合わせて照明の明るさや色合いを調整できる環境を整えることは、組織全体の生産性向上に大きく寄与します。

従業員の心身の健康維持

オフィス照明は、従業員の心身の健康を守る上でも非常に重要な役割を担っています。不適切な照明環境下での長時間の作業は、眼精疲労だけでなく、肩こりや頭痛、さらには慢性的な疲労感を引き起こす原因となります。厚生労働省が定める、情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインにおいても、作業面の適切な照度確保やグレアと呼ばれる不快なまぶしさの防止が明確に推奨されています。

グレアは、照明器具の光が直接目に入ったり、パソコンの画面に反射したりすることで生じます。これを防ぐためには、照明器具の配置を工夫するだけでなく、光を拡散させるルーバー付きの器具を採用するなどの対策が必要です。目に優しい照明環境を構築することは、従業員の健康被害を未然に防ぎ、長期的な労働力の確保に繋がります。

さらに、光はサーカディアンリズムと呼ばれる体内時計の調整にも深く関わっています。日中は自然光に近い明るい光を浴びることで活動的になり、夕方に向けて徐々に暖かみのある光に変化させることで、スムーズな休息へと導くことができます。このような生体リズムに配慮した照明計画は、従業員の睡眠の質を向上させ、メンタルヘルスの維持にも貢献します。

企業ブランディングと採用への寄与

オフィスの内装や照明デザインは、企業の理念や文化を視覚的に表現する強力なツールです。洗練された照明計画が施されたオフィスは、訪問者に対して先進的で信頼感のある企業イメージを強く印象付けることができます。エントランスや応接室の照明にこだわることは、重要な企業ブランディング戦略の一環なのです。

また、魅力的なオフィス環境は、採用活動においても大きな武器となります。求職者は、自分が働くことになる職場の環境を非常に重視しています。明るく開放的で、デザイン性の高い照明が設置されたオフィスは、働きやすさや従業員を大切にする企業姿勢をアピールする絶好の材料です。

従業員が誇りを持って働ける美しいオフィス空間を構築することは、エンゲージメントの向上や離職率の低下にも直結します。照明への投資は、企業のブランド価値を高め、未来の成長を支える人材確保のためにも有効な手段です。

もたらす効果具体的な影響企業へのメリット
生産性の向上集中力の維持と作業ミスの減少業務効率化と業績アップに寄与します。
健康の維持眼精疲労の軽減と体内時計の正常化欠勤率の低下とモチベーション向上に繋がります。
ブランディング企業イメージの向上と魅力的な空間創出優秀な人材の採用増と離職率低下が期待できます。

サーカディアンリズムに配慮したオフィス照明という考え方

近年のオフィス照明における重要なキーワードが、サーカディアンリズム(体内時計)です。
サーカディアンリズムとは、人が本来持っている約24時間周期の生体リズムのことです。これは覚醒や眠気、集中力の波などに大きく関係しています。

生体リズムは自然光の移り変わりに基づいています。朝から昼にかけて明るく青みのある光を浴び、夕方に向かって徐々に光がやわらぐことで、人の体は無理なく活動と休息を切り替えているのです。

一方、オフィス環境では一日中同じ照度・色温度の照明で過ごすことが多く、結果として時間帯に合わない刺激が続き、疲労感や集中力低下につながる場合があります。

サーカディアンリズムに配慮した照明とは、この自然な変化を室内環境でも意識し、朝から日中は覚醒を促す光、午後以降は刺激を抑えた落ち着きのある光といったように、時間軸を含めて光環境を考えるものです。

サーカディアンリズムを乱さないオフィス照明は生産性の向上や健康維持に効果的です。こうした時間変化は、調光・調色制御によって実現されます。

この考え方は、特別なデザインオフィスや先進企業だけのものではありません。一般的な執務室においても取り入れやすくなってきています。照明を「固定設備」としてではなく、働き方を支える環境要素の一つとして捉え直すことが、これからのオフィス照明計画の前提条件になりつつあります。

オフィス照明選びの基礎知識となる3つの指標

オフィス照明は、このように「業務内容」と「光の要素」を組み合わせて設計されます。

これらの要素を実際のオフィス環境に適用するには、空間全体の設計と照明計画を一体で検討することが重要です。 具体的な照明計画の考え方や導入事例については、こちらの専門ページもご参考ください。

空間の明るさを示す「照度」

オフィス照明を検討する上で重要な指標の一つが照度です。照度とは、光が照射された面の明るさを表す数値であり、単位はルクス(lx)が用いられます。光源そのものの明るさではなく、机の上や床面など、光が到達した場所がどれくらい明るいかを示す数値です。このため、実際の作業環境の快適性を評価する上で重要な基準となります。

照度が不足していると書類の文字が見えにくくなり、著しい疲労を引き起こします。一方で、必要以上に照度が高すぎても、まぶしさを感じて不快感を覚えたり、パソコン画面とのコントラストが強くなりすぎて目に負担をかけたりします。したがって、業務内容や空間の用途に合わせて、適切な照度を設定することが求められます。

一般的なオフィス空間では、JIS規格によって推奨される照度基準をベースに照明計画を立てるのが定石です。ただし、部屋の壁紙の色や窓からの自然光の入り具合によっても実際の明るさの感じ方は変化します。このため、数値だけでなく空間全体のバランスを見極めながら照明器具の配置や出力を決定していく必要があります。

光の色合いを表す「色温度」

照度と並んで空間の雰囲気を大きく左右するのが色温度という指標です。色温度とは、光の色合いを数値化したものであり、単位はケルビン(K)で表されます。数値が低いほど赤みを帯びた暖かな光となり、数値が高くなるにつれて青みを帯びた冷たい印象の光へと変化していきます。オフィス照明においては、主に4つの色温度が使い分けられます。昼光色、昼白色、温白色、電球色です。

最も数値が高い昼光色は約6500ケルビンで、青白くすっきりとした光が特徴です。脳を覚醒させ集中力を高める効果があるため、細かい作業を行う場所に一部取り入れられることがあります。続く昼白色は約5000ケルビンで、太陽の自然な光に最も近い色合いです。一般的な執務室で広く採用されています。

約3500ケルビンの温白色は、少し暖かみがあり、落ち着きと明るさを両立した光です。コミュニケーションを促すミーティングスペースなどに適しています。最も数値が低い電球色は約3000ケルビンで、オレンジ色がかったリラックス効果の高い光です。休憩室や応接室など、くつろぎを提供したい空間に最適です。

色の見え方を左右する「演色性」

色校作業ができるよう調色・調光可能な照明が設置されたCRMルーム―日本ロレアル株式会社タカミ事業部(YAMAGIWA)

オフィス照明においては見落とされがちですが、演色性も非常に重要です。演色性とは、照明の光が物体に当たった際、その物体の色が自然光の下で見たときの色にどれだけ近いかを示す指標です。一般的に平均演色評価数という数値で表され、単位にはアールエー(Ra)が用いられます。数値が100に近いほど、自然光に近い見え方です。

演色性が低い照明の下では、肌の色がくすんで見えたり、商品の本来の色味が正確に把握できなかったりする問題が生じます。特に、デザイン業務や印刷物の色校正を行う部署、あるいはアパレルや化粧品などを扱う企業のオフィスにおいては、色の見え方が業務の質に直結します。こうした部署やオフィスには、演色性の高い照明器具の選定が不可欠です。

一般的なオフィス作業においては、平均演色評価数が80以上の照明器具を選ぶことが推奨されています。最近のLED照明は技術の進歩により演色性が大幅に向上しており、オフィス環境においても自然で美しい色の再現が可能です。来客を迎えるエントランスや応接室でも、演色性を高めることで空間全体の上質感を演出することができます。

指標名単位概要とオフィスでの役割
照度ルクス(lx)照射面の明るさを示し、作業のしやすさや目の疲れにくさに直結します。
色温度ケルビン(K)光の色合いを示し、空間の雰囲気や従業員の集中力・リラックス状態をコントロールします。
演色性Ra色の自然な見え方を示し、デザイン業務の正確性や空間の美しさに影響を与えます。

JIS規格が定めるオフィス照明の照度基準

執務空間における推奨照度

日本産業規格であるJIS規格では、オフィスのさまざまな作業内容や空間の用途に応じて、推奨される照度基準を細かく定めています。一般的な事務作業を行う執務空間において推奨されている照度は、750ルクスです。この数値は、パソコンのキーボード操作や書類の読み書きを快適に行うための標準的な明るさとされています。

さらに、設計業務や製図、細かな部品の検査など、視覚的な負担が大きく高度な集中力が求められる作業環境においては、1000ルクス以上の、より高い照度が推奨されています。逆に、パソコン画面での作業が中心で紙の書類をあまり扱わない部署であれば、500ルクス程度でも十分な場合があります。計画段階から業務の性質を正確に把握しておくことが重要です。

照度基準を満たすことは、従業員の眼精疲労を防ぎ、労働安全衛生を確保するための最低限の要件と言えます。デスク上にタスクライトを設置して手元の明るさを補うなど、柔軟かつ効率的な照明計画も有効です。

小さな字を長時間読んでも目が疲れにくいLEDタスクライト〈レビオ〉

会議室・応接室の推奨照度

会議室におけるJIS規格の推奨照度は、500ルクス程度とされています。これは、執務室よりも少し低い数値。落ち着いて議論に集中できる環境を作ることが目的です。ただし、会議室ではプロジェクターやモニターを使用してプレゼンテーションを行う機会が多いため、状況に応じて明るさを調整できる調光機能を備えておくことが理想的です。

使用目的に合わせて照明を切り替える調光システムを導入し、会議やプレゼンに適した光環境を実現―新大阪ブリックビル カンファレンスフロア(YAMAGIWA)

画面を見やすくするために部屋全体を暗くした際にも、手元の資料を読むための最低限の明るさは確保しなければなりません。このような場面では、天井のダウンライトを部分的に点灯させたり、テーブル上にピンポイントで光を落としたりする工夫が求められます。会議の目的に合わせて光の環境を変化させることが、有意義な議論を生み出す鍵といえます。

一方、外部のお客様を招き入れる応接室の推奨照度は、300ルクスから500ルクス程度とされています。明るすぎない落ち着いた光の空間は、緊張感を和らげ、和やかなコミュニケーションを促進する効果があります。壁面を間接照明で照らすなどの演出を加えることで、より上質で居心地の良い応接空間を作り上げることができます。

休憩室・廊下などの推奨照度

従業員が業務の合間にリフレッシュするための休憩室等では、JIS規格において150ルクスから300ルクス程度の照度が推奨されています。照度を落とすことで交感神経の働きを鎮め、心身をリラックスさせる効果が期待できます。

また、電球色のような暖かみのある色温度の照明を組み合わせることで、カフェやホテルのラウンジのような落ち着いた雰囲気を演出することも可能です。業務空間との明確な光のコントラストは従業員のオンとオフの切り替えをスムーズにし、休憩後の業務に対するモチベーションを回復させる重要な役割を果たします。

また、廊下や階段などの移動空間における推奨照度は、100ルクスから150ルクス程度とされています。安全に歩行できる最低限の明るさを確保しつつ、執務室との急激な明るさの変化によって目が眩むことがないよう、段階的な照度の調整を行うことが望ましいです。空間の用途に応じたメリハリのある照度設定が、快適なオフィス作りの基本です。

エリア・用途推奨照度照明計画のポイント
一般的な執務室750lx書類作成やPC作業を快適に行える標準的な明るさを確保します。
会議室500lxプロジェクター使用時などを考慮し、調光機能の導入が効果的です。
応接室300〜500lx緊張を和らげる、落ち着いた明るさと上質な演出が求められます。
休憩室150〜300lx執務室よりも照度を落とし、心身をリラックスさせる空間を作ります。

JISZ9110:2011 照明基準総則

満足度の高いオフィスを実現するためには、設計の早い段階から照明について検討する必要があります。快適で効果的な光環境のために、専門家に相談しましょう。

オフィス照明の代表的なレイアウト手法

空間全体を均一に照らす「全体照明(アンビエント照明)」

オフィス照明の最もオーソドックスなレイアウト手法が全体照明です。アンビエント照明とも呼ばれます。天井に等間隔で照明器具を配置することで、部屋の隅々まで均等な明るさを提供します。日本のオフィスにおいて長年主流とされてきた手法であり、レイアウト変更やデスクの移動があった際にも、照明環境に影響が出にくいという大きな利点があります。

全体照明を採用することで、空間全体に明るく開放的な印象を与えることができます。従業員同士の顔もはっきりと見えるため、活発なコミュニケーションを促す効果も期待できます。また、どこにいても一定の明るさが確保されているため、フリーアドレス制のオフィスとも相性が良いです。

しかし、空間全体を常に高い照度で維持する必要があるため、消費電力が大きくなりやすいという課題も抱えています。また、均一な光は空間を単調に見せてしまう傾向もあります。デザイン性を重視する現代のオフィスにおいては、全体照明にチューブタイプのLED照明を採用して空間デザインの主役にしたり、他の照明手法と組み合わせて立体感を生み出したりするアプローチが増加しています。

全体照明にLEDライン照明を採用し、インパクトのある光空間を実現-OKAMURA LABO OFFICE 「CO-Do LABO」(YAMAGIWA)

必要な場所を照らす「局部照明(タスク照明)」

全体照明とは対照的に、特定の場所や対象物だけを限定的に照らす手法が局部照明です。タスク照明とも呼ばれ、デスク上の手元を明るくするデスクスタンドや、壁面のアート作品を浮かび上がらせるスポットライトなどがこれに該当します。必要な場所にだけ必要な量の光を提供できるため、効率的な照明手法です。

執務デスクに局部照明を導入することで、従業員一人ひとりが自分の作業内容や視力に合わせた最適な明るさを手元で調整できるようになります。これにより、眼精疲労の軽減や集中力の向上に大きく貢献します。また、空間内に光と影のコントラストが生まれるため、オフィス全体に奥行きやドラマチックな表情を与えるデザイン上の効果も持ち合わせています。

ただし、局部照明を活用する際は、照らされる部分と周囲の明るさの差に注意しましょう。極端な輝度差は目の疲れを誘発します。全体照明の明るさとのバランスを考慮し、快適な視環境を維持しながらアクセントを加える計画が求められます。

省エネと快適性を両立する「タスク・アンビエント」

近年、最新のオフィスにおいて急速に普及しているのが、全体照明と局部照明を組み合わせたタスク・アンビエント照明というレイアウト手法です。この手法では、天井の全体照明の明るさをJIS規格の推奨値よりもあえて低く設定し、空間全体のベースとなる柔らかな明るさを確保します。その上で、不足する手元の明るさをデスク上のタスクライトで補います。

タスク・アンビエント照明の最大のメリットは、圧倒的な省エネルギー効果。空間全体を煌々と照らす必要がなくなるため、照明にかかる消費電力を大幅に削減することができます。環境負荷の低減を目指す企業のSDGsの取り組みとしても、有効な手段として注目を集めています。

さらに、従業員が手元の明るさを個別にコントロールできる点も大きなメリットです。個人の快適性が向上し、業務効率の改善に繋がります。空間全体には落ち着いた雰囲気が漂い、手元はしっかりと明るい。こうしたメリハリのある光の環境は、現代の多様な働き方にも寄り添う、合理的で先進的なオフィス照明の形と言えます。

手法名特徴とメリット注意点
全体照明空間全体を均一に明るくし、レイアウト変更にも柔軟に対応できます。消費電力が大きくなりやすく、空間が単調な印象になりがちです。
局部照明必要な場所だけを照らし、手元の明るさ確保や空間の演出に優れています。周囲との極端な明るさの差が生じないよう、調整が必要です。
タスク・アンビエント照明ベース照明を抑え手元照明で補うことで、高い省エネ効果と個人の快適性を両立します。器具の初期導入コストが増加する可能性があるため、費用対効果の検討が必要です。

オフィス空間を彩る照明器具の種類

ベースライト

オフィスの全体照明として最も広く採用されている照明器具がベースライトです。天井面に直接取り付ける直付けタイプや、天井に埋め込むタイプなどがあります。広範囲に均一な光を届けることに特化した照明です。

従来のベースライトは蛍光灯を使用したものが一般的でしたが、現在ではLED一体型のベースライトへの移行が完了しつつあります。LED化により器具自体が非常に薄型になり、天井をより高く、空間を広く見せる効果が生まれています。また、光のムラが少なく、視界に入ってもまぶしさを感じにくい工夫が施された製品が多く開発されています。

ベースライトを選定する際は、空間の広さや天井の高さに合わせて、適切な明るさの器具を適切な間隔で配置することが重要です。

また、最近では、チューブ型やリング型のベースライトも人気です。ベースライトを空間デザインの主役に据えた、モダンでスタイリッシュなオフィスを実現することができます。

ダウンライト

ダウンライトは、天井に器具を埋め込み、下方向を照らす小型の照明器具です。器具の存在感を極限まで消すことができるため、洗練されたモダンな空間を演出するのに適しています。オフィスにおいては、廊下やエントランス、会議室などで多く用いられます。

ダウンライトには、広い範囲を照らす拡散タイプと、狭い範囲を集中的に照らす集光タイプがあります。空間全体のベース照明として使用する場合は拡散タイプを複数配置し、テーブルの上や観葉植物などを際立たせたい場合は集光タイプを使用するなど、目的に応じた使い分けが可能です。

また、ダウンライトの枠の色や反射板の仕上げによっても、光の広がり方や天井の見え方が変化します。空間のインテリアに合わせて器具のディテールにこだわることで、オフィスのデザイン性を一段階引き上げることができます。ただし、一度設置すると位置の変更が難しいため、事前の緻密な照明計画が不可欠です。

スポットライト

スポットライトは、特定の方向に向けて強い光を照射し、対象物を際立たせるための照明器具です。オフィスにおいては、エントランスに掲げられた企業のロゴマークを照らしたり、壁面に飾られたアート作品を美しく見せたりする演出目的で用いられます。光の方向を自由に変えられる柔軟性が最大の魅力です。

天井に設置されたダクトレールに取り付けるタイプが主流です。器具の追加や移動が容易なため、オフィスのレイアウト変更や模様替えにも柔軟に対応できます。最近では、執務空間のベース照明として、あえて無骨なデザインのスポットライトを連続して配置し、インダストリアルな雰囲気を演出する企業も増えています。

スポットライトは強い光を放つため、目に直接光が入らないよう、照射角度の調整には細心の注意を払う必要があります。壁面や床面に向けて光を当て、その反射光で空間を明るくする間接照明の手法を取り入れましょう。まぶしさを抑えつつ、ドラマチックで奥行きのある空間を作り出すことができます。

ペンダントライト

ペンダントライトは、天井からコードやチェーンで吊り下げるタイプの照明器具です。照明そのものがインテリアの重要な一部として機能し、空間に華やかさや個性を与えるアクセントとなります。オフィスにおいては、リフレッシュエリアや、カジュアルなミーティングスペースなどに設置されることが一般的です。

吊り下げる高さを調整することで、光の広がり方や空間の重心をコントロールすることができます。低い位置に設置すれば、テーブルの上に親密で温かな光だまりができ、コミュニケーションを深める効果が期待できます。デザインのバリエーションが豊富なため、企業のブランドカラーやコンセプトに合わせた器具選びが楽しめます。

ただし、単体では空間全体を明るくするだけの光量を持たないことが多いです。ダウンライトなどのベース照明と組み合わせて、全体の明るさのバランスを整えることが重要です。

吸音照明(吸音一体型照明)

残響音を軽減しながらデザインアクセントにもなる吸音照明-羽田スカイキャンパス(YAMAGIWA)

吸音照明とは、照明器具と吸音材(吸音パネル等)が一体になった製品、または照明の周辺に吸音機能を持たせた製品の総称です。オープンオフィスや会議室などで問題になりやすい「反響(残響)」を抑え、会話の聞き取りやすさや集中しやすさを向上させます。照明計画と音環境改善を同時に進められるため、移転・改装のタイミングで検討価値が高い選択肢です。音が響きやすい構造の執務室、会議室・応接室、フリーアドレスのコラボエリアに適しています。

一方で、吸音性能は面積や配置、天井高、床・壁の仕上げ、家具量などの影響を強く受けます。導入検討時は「どのエリアの、どの課題(反響/会話のプライバシー/Web会議の聞こえ等)を改善したいのか」を先に整理し、必要に応じて吸音パネルやカーペット等の他対策との組み合わせも含めて計画すると失敗しにくくなります。

見積・業者相談の際は、照度・色温度・演色性と合わせて「吸音を重視したいエリア」と「優先したい課題」を伝えましょう。

器具の種類主な設置場所デザインと機能の特徴
ベースライト執務室全体広範囲を均一に照らす機能性に優れ、薄型で空間に馴染みます。
ダウンライト廊下・会議室・エントランス天井埋め込み型のため空間がすっきりとし、洗練された印象を与えます。
スポットライトエントランス・壁面ディスプレイ光の方向を自由に変更できる柔軟性が魅力。特定の対象物を照らし、空間を演出します。
ペンダントライトリフレッシュエリア・ミーティング席空間のアクセントとなり、インテリア性を高める装飾的な役割を担います。
吸音照明(吸音一体型照明)執務室、会議室、コラボエリア等(反響が気になる場所)照明と吸音を同時に検討でき、反響低減・聞き取りやすさの改善を狙えます(効果は面積・配置等に依存)。

オフィスのエリア別に見る最適な照明計画

執務室:集中と目の負担軽減を両立

従業員が一日の大半を過ごす執務室の照明計画は、生産性に直結する最も重要な要素です。まずはJISの推奨照度を土台に「書類作業が多いのか/PC作業中心か」「細かい確認作業があるか」など業務実態に合わせて目標照度を決めます。色温度は、基本として自然光に近い昼白色(約5000K)を採用すると、読み書きとPC作業のバランスを取りやすくなります。

さらに快適性を追求するのであれば、前述のタスク・アンビエント照明の導入を検討すべきです。天井のベース照明の明るさを少し抑え、個人のデスクに調光・調色機能付きのタスクライトを設置することで、各従業員が自身の業務内容や好みに合わせて最適な光環境を構築できるようになります。

また、窓際の席と部屋の奥の席では、自然光の入り具合によって体感する明るさが大きく異なります。この場合、窓からの光を検知して自動で明るさを調整する照度センサー付きの照明システムの導入が効果的です。常に一定の明るさを保ちながら無駄な電力消費を抑える、スマートな執務環境を実現できます。

会議室:用途に合わせた調光・調色が鍵

会議室は、社内ミーティングから重要なプレゼンテーション、あるいはオンライン会議まで、多様な用途で使用される空間です。そのため、単一の明るさや色温度で固定するのではなく、シーンに合わせて光の環境を柔軟に変化させられる調光・調色システムの導入が推奨されます。

例えば、活発なアイデア出しを行うブレインストーミングの場面では、少し暖かみのある色の光でリラックスした雰囲気を作り出し、自由な発想を促します。一方、詳細な資料を読み込む会議では、昼白色の明るい光で集中力を高めます。プロジェクターを使用する際は、スクリーン周辺の照明を消し、手元のダウンライトだけを点灯させるなどの細かな制御が必要です。

特に近年増加しているオンライン会議においては、参加者の顔が明るくクリアに映る照明計画が重要です。正面から柔らかい光を当てて顔にかかる影をなくし、背景となる壁面を適度に照らすことで画面全体の印象が向上します。特にオンラインでの商談が多い企業では必須の照明計画といえるでしょう。

リフレッシュエリア:リラックスできる光をつくる

ペンダントライトやブラケットライトなどの意匠照明をカフェテリアに設置し、社員間のコミュニケーションを促進-パーソルキャリア新オフィス(YAMAGIWA)

心身をリフレッシュするための休憩エリアでは、執務室とは明確に異なる照明計画が求められます。ここでは、照度をあえて落とし、色温度を3000ケルビン前後の電球色に設定しましょう。交感神経の緊張を解きほぐす、休憩エリアにふさわしい光環境を構築できます。

天井からの全体照明に頼るのではなく、ペンダントライトやフロアスタンドなどの局部照明を多用し、空間に光と影の陰影を作り出すこともポイントです。リラックスエリアに最適化された照明は、雑談やコミュニケーションを自然に生み出し、エンゲージメントを高めます。

また、観葉植物をスポットライトで照らしたり、壁面に間接照明を仕込んだりすることで、自然の要素や奥行きを感じさせる演出も効果的です。リフレッシュエリアの照明環境を充実させることは、組織全体の活力を高める重要な投資と言えます。

エントランス:企業の第一印象を光で設計する

床と天井のライン照明により、空間全体のつながりを保つエントランス―バンダイナムコ未来研究所(YAMAGIWA)

オフィスのエントランスは、来客が最初に足を踏み入れる場所。企業の第一印象を決定づける顔としての役割を担っています。そのため、単に明るさを確保するだけでなく、企業のブランドイメージや理念を光によって表現する、戦略的でデザイン性の高い照明計画が必要不可欠です。

コーポレートカラーを効果的に見せる演色性の高いダウンライトを採用したり、企業のロゴマークをスポットライトで浮かび上がらせたりする手法が一般的です。また、受付カウンターの下部や壁面のスリットにライン状の間接照明を組み込むことで、空間に浮遊感や先進的な印象を与えることができます。

エントランスから続く廊下や応接室への動線では、連続性のある照明計画が効果的です。来客を自然に導き、期待感を高めるストーリー性のある空間演出が実現できます。質の高い照明デザインによって構成されたエントランスは、企業の信頼感と品格を伝えるツールです。

エリア推奨色温度照明計画のポイント
執務室5000K前後(昼白色)十分な照度を確保し、タスクライトの併用で個人に最適な環境を提供します。
会議室3500〜5000K(調色対応)プレゼンやオンライン会議など、用途に応じた調光・調色機能が必須です。
リフレッシュエリア3000K前後(電球色)照度を落とし、ペンダントライトなどで温かみのある光だまりを作ります。
エントランス空間デザインに合わせて設定企業の顔として、ロゴの強調や間接照明による上質な演出を行います。

まとめ:オフィス照明のポイントを振り返る

この記事の要点をまとめます。

  • 照度や色温度の基礎知識を理解し、JIS規格の基準を満たす環境を構築することが基本です。
  • 執務室やリフレッシュエリアなど、空間の用途に合わせて最適な照明器具とレイアウト手法を選定します。
  • タスク・アンビエント照明やLED化により、省エネと快適性の両立が可能です。

適切な照明計画を実行することで、従業員の生産性を高め、企業の成長を後押しする魅力的なオフィスを実現してください。

ワークプレイスの光環境・世界の照明トレンドを体感しませんか

世界の企業や日本の他企業がどのような照明器具を採用しているかを実際に体感していただくため、YAMAGIWAのWORKPLACE SHOWROOMでは、実際に社員が働くワークプレイスにて照明やシステムについてプレゼンテーションを行っています。

クライアント企業様のご来場のみならず、設計・デザイナー同行でのご来場も非常に多く、ご好評頂いております。
YAMAGIWAが提供する光環境をぜひご体感ください。

*事前予約制。